Quantcast
Channel: モータージャーナリスト・中村コージンのネタ帳
Viewing all articles
Browse latest Browse all 372

昔話を今に:ドイツ2000kmラリーに参戦

$
0
0

2000kmラリーと言っても走るのは、1937年製のオペルである。つまりクラシックカーラリーだ。しかもそのオペルはオペルミュージアムから引っ張り出したもの。壊すわけにはいかないし、何より距離が距離だと思った。

●ラリーのお供、1937年製オペルである。

 

もっとも走るのは全行程の半分。つまり異なるクルーで乗り換えて走るというわけである。乗る車は正確には1937年製のオペル・オリンピア・カブリオレ・リムジーネ。要するにセダンではあるけれどそれをベースにしたカブリオレである。

 

  我々の工程は全1週間のうち、後半の4日間。ドイツとしては最高の季節である6月半ばだった。我々のスタート地点は中東ドイツのアイゼナッハ。現地に到着した翌日にスタートである。到着した夜、簡単なブリーフィングとともにラリーの内容が聞かされた。曰く、コースブックが渡され、基本的にルートはそれに従う。スピードの指示はなく、交通ルールに従う。チェックポイントでスタンプをもらい、スペシャルステージでは指示速度で走り、その結果によって減点ポイントが決まる等々。もっともそんなことは、我々のクルマが特別出場枠で、賞典の対象外だからあまり大きな意味を持たない。とにかく目指すのは完走である。

●途中の歓迎ぶりはこんな感じ。とにかく大盛況

 

翌朝7時。参加車輌を止めてある街の広場に出てみると、すでに参加者たちは準備を始めていた。何しろ、キーを捻ってすぐ発車オーライなどというクルマはほとんど無い。中にはその日の気温に合わせて、自らエアと燃料のミクスチャアを決めてやるようなクルマさえある。我々も、オペルのメカニックからコックピット・ドリルを受ける。運転そのものは、現代のクルマと変わらず、その点では安心したが、ノンシンクロの4速マニュアルはダブルクラッチを踏む必要があるし、そもそもキーを捻っただけでエンジンはかからない。セルモーターを起動させるには、床のスイッチを踏みつけながら、アクセルを煽ってやるのだ。

●のどかな田園風景を疾走するオペル

 

賞典外という気楽さに加えて、地図を見なくても前をオペルのメンバーが走ってくれるからコースを外れる心配もないということで、残ったのは楽しさだけ。そしてその後の道中で個人的にはかつてない芸能人にでもなったかのような気分を味わうことになった。というのも、各チェックポイントではいろいろとお土産はもらえるし、サイン攻め、写真撮影攻めときた。当時まだ東西が統合されて10年と経っていない頃、まだ東ドイツにはそれほどの娯楽はなかったのだと思う。

●チェックポイントに着くとこんな感じでお土産がもらえた。

●こちらもサービスして子供たちを乗せての記念ショット。右に写るピンクのTシャツにヤッケが先導車をドライブしてくれたオペルのメンバー

●隣のおばちゃん(間違ってもおじちゃんではない)からサインの要求。途中で何度サインをしたことか。

 

結局61才のオペル・オリンピアは、何事もなかったように2800キロを走り切った。我々のパートだけでも1345キロあった。

●参加車両はこんな具合。ここには写りきっていない。

●沿道の至る所に人人人

こんなユニークな奴も走っていた。

●ZIELと書かれた文字が門の上に見えるがこれはドイツ語でゴールの意味。最終的なゴールはベルリンだった。

●無事走りきってゴール。緑のハンチングはコドライバーを務めてくれた雑誌ティーポの創設者にして私の仲人の山崎憲治氏

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 372

Trending Articles