今回のお題はこの2台↓
上の左はデトマソ・パンペロというクルマです。そして右、こちらはポルシェ911ロードスター。
両車の出生の秘密(秘密なんてねぇ・・・って言われてしまいそう)は、まずデトマソですが、アレハンド・ロデトマソの野望は、ヴァレルンガのオープンモデルを作ることでした。そこで、ヴァレルンガのシャシーをベースに、着任したばかりの新入りデザイナー、ジゥジアーロにそのデザインを指示。できあがったクルマがこれです。
一方ベルトーネに着任したばかりの新入りデザイナー、マルチェロ・ガンディーニは、ボスのベルトーネ氏から、新しいポルシェ911のスパイダーをデザインしてくれと頼まれて完成させたのがこちらで、このクルマは911が完成して以降、356時台には存在したカブリオレがないことから、カリフォルニアのポルシェ・ディストリビューターだったジョニー・フォン・ノイマンが、ポルシェにそれを頼むよりも自分で誰かに頼んじゃった方が早いやってことで、ベルトーネに依頼。こうして出来上がったのが上のロードスターなわけであります。
とはいうものの、どちらのデザイナーにしても正直言って時間はほとんどなかったわけであります。どちらも登場するのは1966年。しかもベルトーネ・ポルシェの方は3月のジュネーブショーにデビューしていますから、ガンディーニが着任して2ヶ月で作り上げたことになっちゃいます。確かにフロントヘッドライトのスリットなどにガンディーニっぽいデザインの片鱗を見せていますが、全体のフォルムとしては、デトマソ・パンペロにそっくりなわけです。
↑左の写真はパンペロのレンダリング、ジゥジアーロのもの。(それにしてもフロントはフィアットディーノ・クーペに似ています)。そして右はポルシェロードスターの目の部分。リトラクラブルタイプで、オープンすると丸形4灯ライトが出てきます。
結論から言ってこの2台は生産されていません。パンペロはミッドにフォード製の1.5㍑ユニットを搭載していましたが、フィアット850スパイダーと競合することで成功が難しいと判断されたようです。一方のポルシェはアメリカのいちディストリビューターの依頼ということで、商業的成功を見込めにくかったことがその原因のようです。
ではデザインの近似性は・・・。推測に過ぎませんが、こうです。ジゥジアーロは退職したベルトーネの工房に多数のアイデアを残していきました。その一つがポルシェロードスターです。着任したガンディーニは時間の関係で、ヘッドライト部分などを手直ししてジュネーブショーにこれを出しました。一方のジゥジアーロは頭の中に残っていたポルシェロードスターのアイデアを、ミッドエンジン化してパンペロとして具現したということではないかと思います。まあどちらも生産されていませんから、害はないですね。