1976年から2年半ほどドイツに行っていました。留学といえば聞こえはいいけど、まあ遊学の方が近いです。でも、今の仕事に就くきっかけもここで得ましたし、画伯、児玉さん、青戸さん、河岡さんなど、多くの方々とお会いできたのも、ドイツ時代です。学生の分際でクルマなんかっていう考えもありましたけど、その行動範囲が圧倒的に広がったことも確かでした。2年半で2台のフィアットに乗りました。最初のクルマはこれ。
フィアット128です。これは、当時のミュンヘン日本人会で回し乗りされていたクルマです。つまり、滞在期間が終了した日本人が、次の日本人に渡すという感じ。僕のところには当時のお金で700マルクでやってきました。1マルク140円程度でしたから、だいたい10万円弱です。
タイヤはほとんど、5部山以下まで減っていて結構危ない思いもしましたけど、それでもその走りの良さは最高でした。
僕のところに来た時はこの状態。全くボディの輝きを失っていました。この後磨き込んで少しは輝きを取り戻しました。で、これをどうしても欲しいという、大学の今で言う准教授が現れ、いくらダメと言ってもどうしてもと。挙句の果ては代わりを僕が買うから…ということで商談成立。めでたくアップグレードです。そして2台目がこちら。
今度は850スパイダーです。週末になると個人売買が盛んに行われ、その准教授と共にそこへ赴いたのですが、気に入ったクルマはこれだけ。しかし高価でした(僕にとって)。交渉の末に確か2000だか2500マルクに減額。それでも准教授はそれを買ってくれと。でもって自分はあの128に乗ると言い張るので、なんだか釈然としないまま売主のドイツ人に准教授がお金を払って、そのまま乗って帰ってきたというわけです。
程度はかなり良かったと思います。一度このクルマで車検を取りました。その際に数百マルクかかりましたが、一度も壊れることなく、帰国の際には当時ミュンヘンに有った「大都会」というレストランのシェフに譲り渡してきました。買った時とほぼ同じ値段で、買ってくれたので(帰国資金のため)だいぶ助かりました。
このクルマ、かなりのパーツをディーノ246GTから拝借しています。スイッチ類や、エンジンルームオープナーなど。何故知ってるかって?ドイツに来る直前まで散々ディーノを乗り回していたからです。